校長室より

2025年8月の記事一覧

「『お天道様』は見ている」

生徒の皆さんに願うのは、これからの社会、これからの未来を創ることの一端を担う人材へと成長すること。

そのためにも皆さんには、人に慕われ、信頼され、託される人、太陽のような存在であってほしいと願っています。

ところで「お天道様」とは一体何なのでしょうか。

 

【前期全校集会②】

 

皆さん、おはようございます。38日間の夏休みが終わりました。皆さんは、この間どのように過ごしたでしょうか。普段とは違った時間の使い方で、夏休みだからこそできることに時間とエネルギーを注ぐことができたのではないでしょうか。

学校では、3年生を中心に勉強会や夏期講習などで、熱心に勉強に取り組む姿が見られました。一人一人が進路実現に向けて強い気持ちを持って取り組む姿勢や、仲間と共に頑張っていこうという雰囲気が感じられ、とても頼もしく思います。また、大変な猛暑の中、各部活動では、一人一人が自分の健康管理を意識しながら、練習内容を工夫するなどして、目標とする大会やコンクールに向けて頑張っている姿が見られました。とても逞しく思えた夏休みでした。

ところで、今年の夏はこれまで経験したことのないような暑さで、8月5日には41.8℃という国内最高気温が記録されました。今年7月の日本の平均気温は、1898年の統計開始以来、もっとも高い結果となっています。さらに、ゲリラ豪雨や線状降水帯による水害の多発など、これまで異常気象と言っていたことは、もはや日常になりつつあります。

私たちは今後も続くこのような気候変動の中、人々の心身の健康を保持し、社会機能を維持・発展させていかなくてはなりません。まさに、これからの未来を創る人材が求められています。

先日、ある新聞で、熱中症の予防と太陽光パネルとの関連に関する記事を読みました。記事では住宅向け太陽光パネルの設置数が増えると、熱中症で亡くなる高齢者が減るとの研究結果が紹介されています。猛暑日の日数に応じた高齢者10万人当たりの死亡率を比べると、太陽光パネルの設置数が多い地域は少ない地域に比べて、統計的に有意に低いのだそうです。

確かに、エアコンがあっても使用しない高齢の方がいる中、電気代を気にせずエアコンを使えるという環境は熱中症の防止に大きな効果をもたらすことは容易に想像できます。しかし現実には、初期費用が高額になるなど「適応格差」が生じることが課題となります。

この記事は、個人の適応格差もさることながら、温暖化に対する国レベルでの適応格差を防ぐことの必要性について触れています。洪水の頻発や海水面の上昇などに対して、経済的に豊かな国はインフラの強靭化等の対応が可能であっても、財政的な余力のない国ではそれが難しいというのが現実です。私たちは、目の前の身近な課題に向き合いながら、地球規模の視点で大きな課題に立ち向かわなくてはなりません。

未来に向けては、多くの課題があります。この記事ひとつをとっても、どんな切り口で読むかによって、社会の仕組みや科学技術の面など、いろいろな課題が見えてきます。皆さんが、それぞれ自分の得意を活かし、社会を変えること、未来を創ることの一端を担ってくれる人材へと成長してくれることを願っています。 

ところで、私たちが大きな恩恵を受けている太陽は、古くから「お天道様」とも呼ばれています。皆さんも「お天道様は見ている」という言葉を知っているのではないでしょうか。「善い行いも悪い行いも、ほかの人が誰も見ていなくても、全て太陽は見ている」といった意味ですが、この「お天道様」というのは一体何なのでしょうか。

夏休みの出来事です。校舎の階段を上っていると、日に日に埃がたまり汚くなっていくのが目に入り、気になっていました。しかし数日後、校舎を回っていると、階段がきれいになっていました。誰かが掃除をしてくれたのです。ありがたいことです。そしてその数日後、「生徒が階段を掃除してくれていましたよ。素晴らしいですね。」とある人から言葉をもらいました。私は階段がきれいになったこと以上に、とても嬉しくなりました。

きっと掃除をしてくれたあなたは、誰かに見て欲しいからではなく、自分が感じたことに対して、自分がどうしたいか、どうすべきかという問いの答えとして、行動したのだと思います。自分の中にお天道様が存在した、もっと言えばあなた自身がお天道様だということができるのではないかと思います。お天道様は、利他の心を大事にしてくれたのだと思っています。ほかにも、部活の生徒の皆さんが、いろいろな場所を掃除してくれました。これも言わば「小さな社会貢献」。世の中を支える素晴らしい行動です。

皆さんには、人に慕われ、信頼され、託される人、太陽のような存在であってほしいと願っています。是非、たくさんの人と関わりながら、自分を磨いてください。

 さて最後に、全てにおいて優先されるべきである命を守るための備えとして、地震への対処について触れたいと思います。皆さんも知っているとおり9月1日は防災の日。1923年のこの日に関東大震災が発生しました。現在の震度でいうと震度6弱から震度7に相当する揺れを観測したといいます。現在、地震大国と言われる日本では、南海トラフ地震や首都直下型地震などの大きな地震が、近い将来に高い確率で発生すると予測されています。

埼玉県もいつ大きな地震の被害を受けるかわかりません。もしかしたら今日かもしれません。また、地震は学校にいるときに起こるとは限りません。もし、登下校中だったらどうするのか。どのようにして安全を確保し、どこに避難するのか。どのようにして家族と連絡をとるのか。ぜひ想像してください。そして、できる備えをしてください。

 自分の命を守ることはほかの何よりも大切です。災害や事故などの危険を可能な限り回避すること、日頃から健康を心掛けた生活を送ること、自分の心の健康にも意識し、自分の居場所をつくること、そして、苦しいときには心の内を誰かに伝えること、そうして自分の将来に向かって自分なりの人生を創り上げていってほしいと願っています。

それでは、文化祭から始まる前期の後半戦。楽ではないが楽しい充実した毎日になることを願っています。