2025年3月の記事一覧
「四時の序、功を成す者は去る」
偉大な先輩たちは大宮高校を去りました。
そして、学校は後輩の皆さんに託されました。
後輩の皆さん、次はあなたの出番です。
【後期終業式】
皆さん、おはようございます。
あっという間に、一年の終わりの日が来ました。終業式にこうして皆さんの顔を見ながら話ができることをうれしく思います。この冬、インフルエンザや新型コロナの流行が心配される時期もありましたが、皆さんの感染防止への高い意識と行動で、本校では大きく広がることもなく、今日を迎えることができました。
先週は、スポーツ大会での皆さんの活気ある姿、大きな声援、笑顔を見ることができて、とてもうれしく感じました。秋以降、しばらく3年生たちの黙々と勉強に打ち込む姿を中心に見てきたので、スポーツ大会の盛り上がりは、久しぶりにとても新鮮に感じました。また、それと同時に、緑色のジャージがない風景に、世代が交代したことを実感しました。
私は、これまで大宮高校の生徒の皆さんを見てきて、先輩から後輩に自然と受け継がれていく大高生らしさや校風を感じてきました。常に上級生の姿を見て、刺激を受け、その姿勢を真似、いつの間にか立派な大高生になっていくという、この学校の雰囲気が私はとても好きです。しかも、先輩と後輩が相互に相手を意識し、互いに高め合っていることが何よりも素晴らしいと感じています。
その一例が、2年生の有志が受験に向かう3年生に送った千羽鶴です。送られた千羽鶴は、合格祈願の達磨と共に、学校に来て勉強する3年生たちを毎朝出迎えていました。きっと千羽鶴を目にした3年生たちは、大きな勇気をもらったことと思います。また、送った2年生は、来年の自分たちの姿を想像し、3年生になるということを強く意識したことと思います。そしてお互いに、大宮高校の生徒であることを実感し、連帯感を感じたのではないかと思います。
誰もが知っているアイザック・ニュートンは、万有引力の法則の発見をはじめ、多くの偉業を成し、科学の発展に最も影響を与えた人物の一人です。とてつもなく偉大な人物で、さぞかし自信家なのだろうと思いきや、こんな言葉を残しています。「私が遠くを見ることができたのは、巨人たちの肩に乗っていたからです」。ニュートンの偉業は、自身の優れた着眼や発想、熱心な研究の成果ですが、ニュートンはその成果を、先人たちの研究があってこそだと言っています。偉大な先人を真似て、先人たちを追っていく。そして、その結果先人を超えていく。なんとなく、大宮高校で先輩から後輩に引き継がれていく大高生らしさと、常に前進を続ける大宮高校らしさに通じるものを感じます。
私は、皆さんにそんな大宮高校の生徒であることを誇りに思ってほしいと思いますし、この環境を活かしてほしいと願っています。大宮高校は「仲間と共に」という言葉が似合う学校だと思っています。同級生はもちろんですが、先輩後輩の関係性にも「仲間」という言葉が似合います。「チーム大宮」の精神が創り上げた大宮高校の魅力だと思っています。
家庭研修に入ってからも学校に来て、仲間と共に勉強し、互いに教え合っている3年生の姿は素敵でした。どんな時も仲間の存在はありがたいし、心強いものです。皆さんには、勉強や研究も部活動や学校行事も、ぜひ最後まで仲間と共に取り組んでほしいと思います。
先日の卒業式で、卒業生の代表が、答辞の中で2年生へのメッセージを残しました。この場を借りて、1年生にも紹介します。「もうすぐ創立100周年を迎える大きな節目でもある中、大宮高校の校風を守りながらも、新たな伝統を創る重要な一年を担う意識を忘れないでください。最高学年として、旗を振って、後輩たちを導いてください。今後の大宮高校をよろしく頼みます。」熱い思いが詰まったメッセージです。
偉大な先輩たちは大宮高校を去りました。そして、学校は後輩の皆さんに託されました。2年生の皆さん、いよいよです。持てる力を存分に発揮してください。1年生の皆さん、先輩の背中を追ってください。すべての皆さん一人一人の前進が、大宮高校の新たな伝統を創ります。
明日から約2週間の春休みになります。4月からの新年度をどんな一年にするか、しっかり、じっくり考えてください。そして、やる気に満ちたいきいきとした姿で始業式に臨んでください。期待しています。
「志を立てよう。未来のためにも。」
大宮高校の誇りである皆さんの卒業を心から祝福します。
私たちは、皆さんに未来を託します。
誰もがこころ豊かで幸せに暮らせる素敵な未来の創造者になってくれることを願って・・・。
式辞
穏やかな日差しのぬくもりに春の訪れを感じる今日の佳き日に、御来賓の皆様の御臨席を賜り、保護者の皆様と共に「埼玉県立大宮高等学校第75回卒業証書授与式」を挙行できますことは、私ども教職員にとりましてこの上ない喜びでございます。御臨席をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を手にした342名の皆さん、卒業おめでとうございます。また、3年間お子様を支え、共に歩んでこられました保護者の皆様に、心からお祝いを申し上げます。
今日、卒業式という晴れ舞台に立っている卒業生の皆さんは、大高生として過ごしてきた3年間を思い出し、感激もひとしおのことと推察します。この日を迎えることができたのは、皆さん自身の弛まぬ努力の成果ですが、これまで愛情を持って育ててくださった御家族の支えに対する感謝の気持ちを大切に、家族と共に卒業の喜びを味わってほしいと思います。
皆さんは、この大宮高校で、授業はもとより学校行事や部活動などに全力で取り組み、大きな成果を挙げました。皆さんが様々な場面で本校の最上級生として見せてくれた姿は、実に頼もしく、大宮高校の誇りでありました。
体育祭ではリーダーシップを発揮して下級生たちをまとめ、一致団結して競技や応援に臨む見事なチームを創り上げました。文化祭では短期間の準備で、驚くほどに高いクオリティの企画を創り上げました。そして、進路実現に向けて高い目標を掲げ、放課後の教室や廊下で黙々と勉強に取り組み、さらには、仲間同士で教え合いながら受験に向かう姿は、まさに「チーム大宮」そのものであり、私たち教職員も「チーム大宮」の一員として、そんな皆さんを心の底から応援したいと思わずにはいられませんでした。これが、皆さんが創り上げてきた大宮高校の魅力であり、強みでもあります。たくさんの中学生が目標としているこの大宮高校躍進の主役として輝き、生徒の力と学校の魅力を広く発信してくれた皆さんに、心から感謝と敬意を表します。
高校での学びを終えた皆さんは、これからの社会の担い手としてのスタートラインに立ちますが、今、社会は急激な変化が進んでいます。グローバル化、高度な情報化、人工知能の発達、複雑化する社会課題、自然環境の変化。様々なイノベーションによって社会構造も大きく変化しており、先行きを見通すことが難しい時代を迎えています。
このような複雑に発展していく未来社会を生き抜く力として重要とされているのが、感情や心の内面の働きといった、いわゆる「非認知能力」です。
非認知能力にはいろいろな要素がありますが、その中に「GRIT(グリット)」と言われるものがあります。これは、アメリカの大学教授が提唱した4つの言葉の頭文字を取ったもので、全体では「やり抜く力」と訳されています。具体的には、「Guts(ガッツ)」困難な課題に立ち向かう度胸や強い気持ち、「Resilience(レジリエンス)」失敗しても簡単にはあきらめない回復力や逞しさ、「Initiative(イニシアチブ)」自分で目標を定め自ら率先して取り組む自発性や行動力、「Tenacity(テナシティ)」最後までやり遂げる執念や粘り強さです。
「GRIT(グリット)」は、私たちが自分の夢や目標を実現するために重要な要素であり、強い決意によって持続するとされています。皆さんは大宮高校での様々な経験を通して、この「やり抜く力」を身につけてきたことと思います。
日本の実業家で、松下電器、現在のパナソニックホールディングスの創業者である松下幸之助はこう述べています。「志を立て決意することは大事。だがそれ以上に大事なのは、そうした志なり決意を持ち続けることである」。今、皆さんは新たな夢や目標を持ち、それを実現しようと決意し、新たな世界に挑もうとしています。是非、その強い思いを持ち続け、やり抜いてほしいと思います。
松下幸之助は、こうも述べています。「志を立てよう。自分のためにも、他人(ひと)のためにも、そしてお互いの国、日本のためにも」。今はグローバル時代ですから、この言葉の「日本のためにも」を「未来のためにも」に変えて、私から皆さんに送りたいと思います。近い将来、皆さんが未来の創造者の一人として社会のどこかで活躍してくれることを心から願っています。
大宮高校は令和8年度に創立100周年を迎えます。100周年を迎えるにあたってのスローガンも決まりました。『100年先も、大高生。』。皆さんの母校である大宮高校は、これからも未来に向かう皆さんを見守り続けます。皆さんには、末永く母校を、後輩たちを、愛し、そして応援してください。
結びにあたり、これまで本校教育活動の充実・発展のために、絶大なる御理解と御協力を賜りました保護者の皆様に心から感謝申し上げます。また、御来賓の皆様には、今後も引き続き、特段の御指導と御支援を賜りますようお願い申し上げます。
卒業生の皆さんの未来に、幸多からんことをお祈りするとともに、御臨席を賜りました皆様に重ねて御礼を申し上げ、式辞といたします。
令和7年3月15日
埼玉県立大宮高等学校長 松中 直司