理数科日誌

2021年11月の記事一覧

【理数科日誌】最先端研究施設を訪問してきました

10月28日(木)、朝7時すぎにさいたま新都心駅のバスロータリーから貸切バス2台で出発し、茨城県のつくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)を訪問してきました。

 

 

到着後には、研究員の方に「物理学で何がわかるの?」というテーマで、人類が『自然』に対して抱く“知りたい”という思いと実験の歴史、最新の素粒子物理学による『自然』の理解について、講義をしていただきました。また、KEKが世界で担っている役割や研究施設の概要についても講義の中で知ることができました。

 

 

● 地球上のすべてのものは何からできているのか → 原子(粒子)の発見

● 原子の中はどうなっているのか、どうすれば知ることができるか → 素粒子物理学の発展

● 見えているものだけが本当の姿ではないのかもしれない → 新たな実験計画

 

『自然』について、思い込みで説明するのではなく実験によって確かめようとしてきた科学者たちの姿勢は、科学研究において最も大切なものなのだなと気付かされます。

 

また、いま分かっていないことを理解しようとして最先端の研究が行われていること、世界の研究施設と共同で国際実験が行われていることを知り、これから見学するKEKの施設についてとても興味がわきます。 

 

 

【超電導低温工学センター】

※加速器に用いられる超電導電磁石の研究施設です

 

     

 

高校生向けに超伝導現象についてのデモンストレーションと説明をしてもらいました。

生徒も積極的に質問し予定していた時間をオーバーしてしまうぐらいでしたが、ひとつひとつ丁寧に答えていただきました。超電導状態の超伝導体に流れる電流についての質問では、なぜ加速器に超電導電磁石の技術が必要になるのか、強くて安定した磁場と電流の関係について調べてみようというきっかけになったのではないでしょうか。

 

 

【放射光実験施設(フォトン・ファクトリー)】

※加速器から発生する波長の短い光「放射光」を用いて、物質や生命を原子のスケールで観察し、様々な研究が行われています

 

    

 

放射光を用いた解析が、物理・化学・生物・地学分野の様々な科学研究に利用されていることがわかります。現在、加速器が稼働しているため、施設内ではデータを解析する研究者の方々も目にすることができました。生徒にも憧れの姿だったのではないでしょうか。

 

 

【展示ホール】

 

        

 

 

【霧箱実習】

最後には、霧箱を用いてα線粒子(ヘリウムの原子核)とβ線粒子(電子)の飛跡を観察しました。

 

       

 

霧箱は、その装置の発明により放射線の飛跡の写真撮影に成功したこと(1927年)、電子の反物質である陽電子の発見がなされたこと(1936年)、光が電子と陽電子に変化することの発見がなされたこと(1948年)、これら3つについて、それぞれにノーベル物理学賞が与えられており、数々の重要な発見につながったことから「物理学の歴史上、最も独創的な装置」といわれているものです。

 

目には見えない粒子でもその飛跡は実際に観察できることの驚きや、霧箱の仕組みを知って感動している生徒もいました。科学研究の楽しさを学ぶことができたのではないでしょうか。

 

 

【その他】

 

いい天気(超電導低温工学センターの前) いい天気(KEKはディズニーぐらいの広さ) 4号館ロビーの壁面のカッコよさに魅了される理系の人たち その説明をしてくれる担任の清水先生 KEKねこ 

 

 

高校生のうちに最先端の研究施設を訪問できたことは、本校生徒にとって大きな価値を持つことになると思います。

 

コロナ禍において見学者の受け入れができなかった時期もあったようですが、本校生徒のために貴重な時間をつくってくださったKEKの皆様には本当に感謝です。ありがとうございました!

 

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