理数科日誌

2020年12月の記事一覧

【理数科日誌】課題研究・集中実験講座

 12月23日(水)、24日(木)の2日間の日程で、理数科2年生の課題研究の集中実験講座を行いました。

  少しずつ形になってきた研究の様子を写真で紹介します。

 

【数学】

 

 

【物理】

      

 

【化学】

 

 

【生物】

     

 

 12月24日(木)の午前中には、研究室訪問の代替行事として東京大学大学院の 内山真伸 教授の講演を聞く機会もあり、研究に対する熱量にも変化があったようです。

 

 コロナ禍で研究にかけられる時間が限られる中ではありますが、自分たちの研究成果が見出せるように頑張っています。

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【理数科日誌】大学セミナーを開催しました

 12月24日(木)午前、理数科1・2年生(+希望者)を対象に、東京大学大学院の 内山真伸 教授がご講演くださいました。

  過去の研究室訪問で本校生徒がお世話になったこともある内山教授は、二原子炭素 C2 の化学合成に成功し、炭素の四重結合の存在を実証されました。

 

 

 今回の講演では、『人生を左右する決断のときのために 一大学教授からの提案』というテーマで科学研究の楽しさや意義をわかりやすく説明していただき、その中で本校生徒に向けて科学者の視点から生き方についてもお話していただきました。 

    

 

 難しい内容についても、そのときに科学者がどのように考えて新しい発想を持ったのかがわかると、その研究の見え方が変わってきます。

  • インフルエンザ治療の創薬での発想(シアル酸との結合を阻害)からリレンザが開発され、タミフルやイナビルにも、その分子構造が生かされていること
  • “予想外”でできた創薬「ワーファリン」「ニトロペン」に科学者がどのように関わっていたのか
  • 2016年ノーベル化学賞「分子マシンの設計と合成」につながるような化学発展の歴史
  • 二原子炭素 C2 の化学合成

 

 

 

 広い視野と多様な見方で鋭い推理ができるか、予想外の結果から何を考えるか、科学研究の在り方を教えてもらった気がします。

 

(質疑応答の様子)

    

 

 本校生徒も、先生の自己紹介から薬学を研究するきっかけについてのお話や、研究者としての生き方のお話に、多くのことを学ぶことができたのではないでしょうか。

 

 コロナ禍で研究室訪問の行事開催ができない中、講演という形式でご協力いただきました内山教授には本当に感謝です。生徒にとっても、次は大学で会いましょうという先生の言葉が大きな励みになりました。 

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【理数科日誌】大学セミナーを開催しました

 12月15日(火)午後、理数科1年生(+希望者)を対象に「大学セミナー」を開催しました。

 

 講師は、東京大学大学院の 齋藤継之 准教授です。

 齋藤准教授は、鋼鉄の 1/5 の重さで 5 倍強いとも言われる、木材由来の新素材“セルロースナノファイバー”を開発されました。この業績により、森のノーベル賞ともいわれる「マルクス・ヴァーレンベリ賞」をアジアで初受賞されています。

 

 『農と木とナノテク』というテーマで始まった講演では、先生の研究内容やその意義、専門の研究対象を見つける過程などについて、本校生徒に向けてとても分かりやすく工夫して説明していただきました。

 

     

 

 生徒も熱心にメモを取りながら、聞いていました。

  • 木材の重さの半分を占めるセルロースから、セルロースナノファイバー(CNF)を製造する技術開発に研究のブレイクスルーがあったこと。
  • “透明な紙”を利用した生分解性のある基盤がつくれること。
  • “透明な断熱材”の実用化で住環境や自動車の熱エネルギー損失の低減ができること。
  • CNF複合化により軽くて堅くて強くて熱にも強い素材がつくれるため、化学資源材料を減らせること。
  • 現状は高価なCNF材料だが、精密な制御によってその機能に効率や付加価値を与える研究が大学で行われていることや、企業との連携で安く簡単につくる研究も行われていること。
     

 

  最先端の研究内容に、とても興味を持った生徒が多かったようです。(質疑応答の様子)

 

 

 

 

 

 

 

 再生可能な生物資源である木材からセルロースナノファイバー(CNF)を生み出す技術や、CNFの軽くて強い特性を利用した新素材“透明な紙”や“透明な断熱材”、またプラスチックとの複合化でプラスチックを堅く強く薄くできる技術など、その応用例は近い将来の環境を大きく変えてくれそうです。

 

 最近はSDGs(持続可能な開発目標)という言葉をよく目にするようになりましたが、その実現に科学がどのように貢献できるのか。

 本校理数科の卒業生(4期生)でもある齋藤先生のご活躍に、大きな刺激をもらった1日になりました。

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