校長室より

「一歩は一歩より高し」

力強い眼差しを向けてくれる新入生。その目の輝きに、期待は大きく膨らみます。

皆さんは、これからの大宮高校の担い手。

そして、大高での学びを通して未来の担い手へと成長していくのです。

ステージの幕は上がった。さあ、一歩を踏み出そう。

 

式辞

 一雨ごとに温かさが増し、木々の緑に春の息吹を感じる今日の佳き日に、御来賓の皆様、並びに新入生保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和8年度埼玉県立大宮高等学校入学式を盛大に挙行できますことは、本校関係者一同大きな喜びでございます。御臨席をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました366名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員を代表して、「大宮高校の宝」である皆さんを心から歓迎いたします。今日、皆さんは、晴れて創立100周年を迎えるこの大宮高校の生徒となりました。まずは、本校入学を目指し、様々な困難に打ち勝ち、この場に立っている皆さんの強い信念と不断の努力を讃えたいと思います。そして皆さんには、お世話になった中学校の先生方、励まし合い共に学んだ友人、また、皆さんを深い愛情で支えてくださった家族に対する感謝の気持ちをしっかりと心に刻み、新たなステージでの一歩を踏み出してほしいと思います。

 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。お子様の晴れ姿を前に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。心よりお喜びを申し上げます。

 さて、新入生の皆さん、今私は皆さんのいきいきと輝く眼差しを拝見し、とても頼もしく感じます。これからの大宮高校を担ってくれるという期待は大きく膨らみました。皆さんには本校での三年間の学びを経て、「大宮高校の宝」から「社会の宝」へと成長を遂げてほしいと願っています。

 本校は「未来を創るリーダー」の育成を目指しています。皆さんが創るその未来はまさに未知の世界。今、社会は極めて予測困難な時代を迎えています。私たちは、激しい変化で先を見通すことが難しく、明確な答えが存在しない不確実な社会の中にいますが、その中で求められるのは「別解」「納得解」「最適解」といった活路を見出していくことです。自分の力あるいは自分たちの力で、情報の収集や分析、試行錯誤や議論を重ねながら、最善であろう答えを導き出さなくてはならないのです。今日から始まる大高生活での様々な経験は、未来を切り拓いていくために必要となる皆さんの「思考力」や「想像力」、「情報収集能力」や「分析力」さらには「行動力」や「コミュニケーションスキル」を高めていくはずです。

 社会の課題は目の前にあります。日本が直面する超少子高齢化、世界各地で起きている混乱、地球規模で進む温暖化、これらは遠い世界の出来事ではなく、その変化や影響は皆さんも既に感じているはずです。ぜひしっかりとそれらの課題に目を向けてください。そして、それらの課題解決と学校での学びを関連づけてほしいと思います。3年間の大高生活を通して、未来に向かう高い志と、それを実現するための逞しい心と体、そして、大学でのより深く高度な学びや研究に備える高い学力を身につけて欲しいと願っています。

 皆さんは日本初の第一次南極観測隊越冬隊長を務めた西堀栄三郎を知っているでしょうか。この方は真空管の製造・開発を通して、世界に誇る日本品質の礎を築いた技術者であり、その一方で、日本初の8000メートル級登山となるヒマラヤ山脈マナスルの登山計画に尽力した登山家でもあります。まさに今流行りの二刀流。文武両道を地で行く科学者です。

 当時の日本で、「南極大陸の観測は無謀だ」とも言われた挑戦を成功させたのは、科学者としての冷静な分析力や登山家としての不屈の実行力であったと思います。その偉業を成し遂げた西堀栄三郎は次のように述べています。「石橋を叩いて安全を確認してから決心しようと思ったら、おそらく永久に石橋は渡れない。やろうと決めて、どうしたらできるかを調査せよ」。挑戦することの大切さを伝える言葉です。

 高い目標を掲げることの意味は「達成すること」そのものではありません。目標を持つことによって「自分の行動の質」が変わることにあります。掲げる目標によって必要となる行動は異なります。また、立ち向かうべき試練や困難も異なります。自分が掲げた目標と選んだ行動を通して、自分と向き合い不安や困難を乗り越えながら、様々な成功や失敗、挫折といった経験を重ねることが、皆さんをひと回りもふた回りも大きく成長させてくれます。目標の高さは、自分がどれだけ成長できるかを左右することにつながるのです。

 ここで忘れてはならないのは、常に自分の思うように物事は進まないということです。誰もが完璧ではないということ、自分も壁にぶつかる、失敗する、自信を失う経験をするということを受け入れることです。大切なのは、その時どうするかを学ぶこと。自分の弱さと向き合うことも、他者に助けを求めることも、誰にも必要な経験であり、すべてが成長の糧となるのです。

 エベレスト登頂を目指すクライマーは、たとえ麓の天候が悪くても、頂上を見据えて一歩を踏み出します。皆さんも、目の前の小さな躓きや失敗に一喜一憂することはありません。見据える未来に向け、少しずつでも上へ上へと一歩ずつ確実にその歩みを続けることに大きな意味があります。皆さんには社会の大きな未来に目を向けて欲しいと思います。また、同時に、3年後の自分の輝く未来を想像し、その未来を現実のものにしてほしいと強く願っています。

 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねて入学のお喜びを申し上げます。この15年間、様々なご苦労があったことと思います。心から敬意を表したいと存じます。本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。責任をもって、お子様の力をしっかりと伸ばしてまいります。

 高校時代は、生徒一人一人が、自分の人生を自分の力でつかみとっていく大切な時期です。失敗や挫折、成功の経験を重ねながら一歩一歩少しずつ自立した大人へと成長していきます。私が昔出会った「アメリカインディアンの教え」の中から3つの言葉をご紹介します。「心が寛大な人の中で育った子は 我慢強くなります」「励ましを受けて育った子は 自信を持ちます」「人に認めてもらえる中で育った子は 自分を大事にします」。どうか保護者の皆様にはどっしりと構え、笑顔で、お子様の成長を後ろから暖かく見守っていただき、力強く支えていただきますようお願いいたします。 私たち教職員は、大宮高校の教育に誇りをもって全力で取り組んでまいります。家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長を後押ししてまいります。何卒、御支援・御協力を賜りますようお願いいたします。

 それでは、3年後の卒業式の日に、ここにいる新入生が心身ともに大きく成長し、すべての生徒、保護者の皆様が「大宮高校で本当によかった」と思えることを心から願い、式辞といたします。