校長室より

校歌に想う

 「武蔵野の野辺に風薫り はるけき道はわれを呼ぶ」で始まる本校校歌は、昭和27年11月に制定されました。昭和26年2月に埼玉県大宮女子高等学校と埼玉県大宮第一高等学校が統合され、埼玉県立大宮高等学校となりましたが、統合した当初は、新校の校歌はまだなかったようです。

 本校創立70周年記念誌に、昭和27年当時に勤務していらっしゃった先生の回想記を見つけました。以下抜粋します。

「昭和27年頃、私は埼玉県立大宮高等学校に奉職していたが、その年「大宮高校に校歌を」という声が生徒の間にもち上がり、6月に応援団役員の発議で具体化し、全校生徒の署名を以って学校側に申し入れがあった。職員会では意義なくこれを可決し、専門詩人に作詞を依頼することを満場一致できめた。」

 昭和2年創立の成均学園大宮高等女学校から変遷を辿った大宮女子高等学校と昭和4年設立の大宮農園学校から変遷を重ねた大宮第一高等学校(男子校)、この2校が統合したわけです。当時を勝手に想像してみると、かなりの混乱があったはずです。教育方針の異なる女子校と男子校が統合したわけですから、当時の先生方は、とても悩みながら新生大宮高校が進む道を考えていったのでしょう。そんな状況下で、生徒から新しい校歌を求める声があがり、生まれたのが現在の校歌です。大宮高校の校歌は、まさに大宮高校をひとつにまとめる大きな役割を担ったのだと思います。回想録は、校歌発表会の様子を次のよう記しています。

 「当日は、午後1時より発表会を開会し、まず日新(ひよし)校長から作詞者(神保光太郎氏)・作曲者(宮原禎次氏)の紹介があり、ついで神保・宮原両氏のあいさつ、花束贈呈、神保氏の校歌並びに自作詩朗読、最後に宮原氏指揮による校歌の合唱を以って幕を閉じた。希望に燃える若人たちの合唱が大講堂を揺るがして、大宮高校の前途を祝福するようであった。」

 「あたらしき使命にもえて 相寄りてここに誓う」あれから70年の歳月を経て、今でも大宮高校には、生徒の歌う素敵な校歌が響いています。大高生には、時代の想いも感じながら、あたらしい未来を創ってほしいと思います。