「本物の人格を備え、志を立てる」
凛とした姿の新入生。皆さんの入学を頼もしく感じます。
本物の人格とは何か?
挑戦し、失敗、挫折、成功の経験を重ねながら、答えを見出そう。
未来を創るリーダーを目指して・・・。
【入学式式辞】
桜が咲き、若い命が躍動する春がめぐってまいりました。この桜舞う今日の佳き日に、御来賓の皆様並びに新入生保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和7年度埼玉県立大宮高等学校入学式を盛大に挙行できますことは、本校関係者一同 大きな喜びでございます。御臨席をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました358名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員を代表して、皆さんの入学を心から歓迎いたします。
今、皆さんは、晴れて大宮高校の生徒となった喜びをかみしめていることと思います。その喜びは、皆さん一人一人の本校を目指す強い信念と弛まぬ努力の結果ではありますが、皆さんを導いてくださった中学校の先生方、励まし合い共に学んだ友人、そして何よりも、皆さんを深い愛情で支えてくださった家族に対する感謝の気持ちをしっかりと心に刻み、高校生活を踏み出してほしいと思います。
保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。お子様の晴れ姿を前に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。心よりお喜びを申し上げます。
さて、新入生の皆さん、今私は皆さんの凛とした姿を拝見し、とてもワクワクしています。これからの3年間で、さらに大きく逞しく成長する皆さんの姿が楽しみです。
皆さんは自分の判断で目指す高校を選び、努力し、挑戦をした結果、今ここにいます。自分の意思で進むべき道を決め、今があるのです。そして、これから新しい世界での新たな挑戦が始まります。皆さんの大宮高校入学はゴールではなく、ひとつのマイルストーンでしかありません。皆さんの進む道には続きがあります。ゴールはもっと先にあります。これからの高校生活の中で、次に進むべき自分の道を見つけてください。
本校は「未来を創るリーダー」の育成を目指しています。今日、日本が直面する超少子高齢化はあらゆる場面で人材不足を引き起こし、今後ますます深刻化していきます。社会経済のグローバル化や高度な情報化は産業構造を大きく変えようとしています。また、気候変動が引き起こす異常気象は、もはや異常ではなく通常になりつつあります。このような大きな変化に、私たちは対応し、課題を解決し、豊かな未来を切り開いていかなくてはなりません。本校は、皆さんが未来の創造者になってくれることを願い、様々な教育活動を展開していきます。
私は皆さんの高校生活に、「人格を備える」というテーマを与えたいと思います。「人格」という言葉について、広辞苑には「人がら。人品。」あるいは「道徳的行為の主体としての個人。自律的意思を有し、自己決定的であるところの個人。」などと記されています。「人格」についての考え方は人それぞれ異なると思いますが、高校生となった一人の若者として、じっくりと「人格」について考えてみて欲しいと思います。どんな人であろうとするのかを考え、そのために必要な行動を実践し、迷ったり悩んだりしながら、自分と向き合ってください。そして、社会に目を向け、社会との関わりについて考えてください。そうした日々の積み重ねによって、皆さんが本物の人格を備え、志を立ててくれることを願っています。
人々の座右の銘としてよく知られる言葉に「継続は力なり」という言葉があります。この言葉の由来には諸説ありますが、「青年よ 強くなれ」との書き出しで始まる詩の中の一節だといわれています。そこには「念願は人格を決定す 継続は力なり」という言葉が出てきます。何を目指し目標とするのかという自分の意思がまず大事であって、その意思を貫き、日々の行動を積み重ねることによって、人として大きく成長していくということを表しているのだと思います。
また、皆さんよく御存知のヘレン・ケラーは次のようなことを述べています。「人格は、安楽や平穏の中で養われるものではない。挑戦と苦難の経験を通してのみ、心は鍛えられ、夢は明確になり、希望が湧き、成功を手にすることができる。」本物の人格を備えた人は、まさに未来を託すべきリーダーに相応しい人材であり、「社会の宝」であると思います。
これから始まる皆さんの自分の進む道探しは、挑戦することから始まります。当然のことながら簡単ではないかもしれません。高い目標を掲げればそれだけ困難も伴うはずです。多くの人は失敗や挫折を経験するはずです。しかし、それは当たり前のこと。挑戦する気持ちとやり抜く姿勢、そして何よりも大切な「失敗や挫折を乗り越える経験」を通して、自分の未来、社会の未来を切り拓いていく青年へと成長を遂げて欲しいと願っています。
大宮高校は、皆さんの進路実現の先に、日本そして世界の未来を創るという壮大なビジョンを掲げています。私たち教職員は、日々の授業はもちろん、学校行事や部活動を含めたあらゆる教育活動が、社会の未来に繋がっているという思いで、皆さんとともに前進していきます。皆さんも、ぜひその気になって高い目標を掲げ、積極的に充実した高校生活を送ってください。
最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねて入学のお喜びを申し上げます。この15年間、様々なご苦労があったことと思います。心から敬意を表したいと存じます。
本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。責任をもって、お子様の力をしっかりと伸ばしてまいります。
高校時代は、生徒一人一人が、自分の人生を自分の力でつかみとっていく大切な時期です。失敗や挫折、成功の経験を重ねながら一歩一歩少しずつ大人へと成長していきます。「子供は大人の話を聞くのは苦手だが、大人のマネをするのはとても上手だ。」これは、あるアメリカの作家の言葉です。どうか保護者の皆様にはどっしりと構え、笑顔で、お子様の成長を後ろから暖かく見守っていただき、力強く支えていただきますようお願いいたします。
私たち教職員は、大宮高校の教育に誇りをもって全力で取り組んでまいります。家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長を後押ししてまいりたいと思いますので、何卒、御支援・御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、3年後の卒業式の日に、ここにいる新入生が心身ともに大きく成長し、すべての生徒、保護者の皆様が「大宮高校で本当によかった」と思えることを心から願い、式辞といたします。