校長室より

前期全校集会 校長講話

7月22日に実施した前期全校集会での話を掲載いたします。

 

  皆さんおはようございます。家庭で参加している3年8組の皆さん、元気に過ごしていますか。夏季休業前に学級閉鎖となりましたが、こうして全校生徒に向けて話ができることをたいへん嬉しく思います。今日は、三つの話をします。一つ目は、新型コロナウイルス感染症対応について、二つ目は、私の高校時代の話、三つめは、校長から皆さんへ夏休みの宿題です。

 

  一つ目は、新型コロナウイルス感染症の対応についてです。今年度は、四月より、オリエンテーションキャンプ、遠足、芸術鑑賞、体育祭等々、学校行事が開催でき、学校行事の意味や素晴らしさを改めて感じました。一昨日までのスポーツ大会でも、皆さんの雄姿を見ることができました。女子サッカーで見事なゴールを決めた瞬間は、思わず「すごい」と声をだしてしまいました。印象的だったのは、勝敗を決めるバスケのフルースローを外した時、サッカーのPKを外した時、チームのみんなが声をかけてその選手を励ましていた光景です。本当に心根の優しい生徒たちだと思いました。こうした行事に全力で取り組む大高生は素晴らしい。

 しかしながら、全国の感染者数は急激増えています。今回、国や県は、行動制限を行わず一人一人が感染防止に取り組んで、感染拡大を抑えていく方針を出しています。生徒の皆さんも私たち教職員も、感染拡大防止のためにできることを徹底して行うことが必要です。大高は、夏休みでも様々な活動を実施します。明日から始まる通いでの学習合宿、夏期講習、部活動の練習、大会、校外合宿 等々、自分が体調不良の時、家族に発熱等がある場合は登校しない、参加しないことを徹底しましょう。体調はよいのだが、万が一感染していたらと不安になっている人は、任意で無料の抗原検査を活用することができます。大会や合宿に参加する場合や、感染の不安を解消したいと思っている人は活用するのもよいでしょう。リーフレットや申込書の様式は大高HPに掲載してあります。

 

 二つ目は、私の高校時代の話です。自分の恥ずかしい過去ですが、しくじり先生だと思って聞いてください。私は、加須市に生まれ育ちました。小学校は家から歩いて3歩、中学校は徒歩10分、高校は自転車で10分。高校までは、ほとんど加須市の中で生活していました。時々、大宮のラケットショップに行き、ハタシネマで映画を観ることが当時の私にとってはちょっとした冒険でした。何の迷いもなく地元の高校に進学すると、高校入学の説明会で春休みの課題が渡されました。

 ここでしくじりポイント①、「入学前の課題を全くやらなかった」 入学すると、課題テストなるものがあり、学年の順位が発表されました。今でもその順位をはっきり覚えています。436位。当時は、一クラス45人学級で10クラスでしたから、450人中436位だったのです。その結果を踏まえ、私は、自分は勉強しない奴というキャラクターを自分に設定しました。勉強しないだけで、やればできるという逃げ道も設定していたように記憶しています。軟式テニス部に所属し、毎日部活動に精を出し、友人にも恵まれ楽しい牧歌的な高校時代を過ごしました。

 しくじりポイント②、「欠点をとらなければよいという思いで授業を受けた」 勉強は何のためにするのかなどは全く考えることなしに、欠点をとらないように最低限の勉強しかしませんでした。当然、好きな教科も得意な分野も私の中に生まれることはありませんでした。

 しくじりポイント③、「依然として加須市の中で生活していた」 インターネットもない時代でしたので、情報源は、新聞雑誌、テレビ、ラジオでした。世界の、日本の、埼玉県の同世代の人間がどんな活躍をしているのか、どんな意識を持っているかなどまったく気にもせず、知りたいという意識もありませんでした。大学の情報すら自分から求めることをしませんでした。6月に部活動を引退しましたが、夏休みは文化祭の準備に明け暮れ現実逃避は続きました。秋になって初めて、大学を受験するという現実に直面しました。当時の大学は、現役生より浪人生の方が多かった時代だったので、浪人は当たり前だという意識でいましたから、当然のごとく大学はすべて不合格でした。当時、大宮高校の近くに新設された一橋学院早慶外語という予備校に通うことに決まりました。

 予備校入学金の支払いに行くため、親からお金の入った封筒を受け取りました。30数万円入っていたと思います。上着の内ポケットに入れ、取られないように気を付けながら電車に乗り、大宮駅を降り、落とさないように気を付けながら一橋学院まで歩きました。窓口で、入学の書類を確認してもらいながら、お金の入った封筒を渡した時です、なんとも情けない、申し訳ない気持ちが湧いてきました。「もっとまじめに勉強していれば、こんな大金を親に支払わせることはなかった」 その時の気持ちは、40年以上経った今でも、しっかり記憶にあります。その気持ちがきっかけで、予備校では勉強し、三番目に入学したい大学に合格することができました。大学で教員免許を取得し、教職について36年目の今があるわけです。

 40数年前の自分に助言ができるなら、まずは「入学前の課題をやれ」と言います。そして、「勉強は良い成績をとるためではない、まして欠点をとらないためではない、勉強は自分の人生を豊かにするためであり、社会に尽くす喜びがもっと得られる」と伝えたい。自分に数学や理科系の教科の知識があれば、もっと世の中を観ることができて、もっと多様な考え方ができ、社会に貢献できるだろうと今も感じています。

 大高生の皆さん、「人生はマルチエンディング」です。人生のゴールは決まっていません。今、皆さんは、それぞれ、自分の目標に向かって努力しています。しかしながら、その目標が常に100%叶うわけではありません。叶わなかった時、目標を修正して、脇道に逸れてもいいから、歩みを止めないでください。脇道で素敵な出会いがあるかもしれません。うまくいかなかった時、悩んだ時、小さな一歩でいいから歩みを止めないこと、これがしくじり先生からの話です。

 

 三つ目は、皆さんへの夏休みの宿題です。それは、「SMILE」 夏休み中、一日に一回は、笑ってください。口角をあげて、笑ってください。笑っているところを家族に見られたなら、校長からの宿題だと言ってください。

 

 皆さん、有意義な夏休みを過ごしてください。8月29日に、全員元気に会いましょう。

 「DREAM、 PLAN、 ACTION」