校長室より
「一歩は一歩より高し」
力強い眼差しを向けてくれる新入生。その目の輝きに、期待は大きく膨らみます。
皆さんは、これからの大宮高校の担い手。
そして、大高での学びを通して未来の担い手へと成長していくのです。
ステージの幕は上がった。さあ、一歩を踏み出そう。
式辞
一雨ごとに温かさが増し、木々の緑に春の息吹を感じる今日の佳き日に、御来賓の皆様、並びに新入生保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和8年度埼玉県立大宮高等学校入学式を盛大に挙行できますことは、本校関係者一同大きな喜びでございます。御臨席をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました366名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員を代表して、「大宮高校の宝」である皆さんを心から歓迎いたします。今日、皆さんは、晴れて創立100周年を迎えるこの大宮高校の生徒となりました。まずは、本校入学を目指し、様々な困難に打ち勝ち、この場に立っている皆さんの強い信念と不断の努力を讃えたいと思います。そして皆さんには、お世話になった中学校の先生方、励まし合い共に学んだ友人、また、皆さんを深い愛情で支えてくださった家族に対する感謝の気持ちをしっかりと心に刻み、新たなステージでの一歩を踏み出してほしいと思います。
保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。お子様の晴れ姿を前に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。心よりお喜びを申し上げます。
さて、新入生の皆さん、今私は皆さんのいきいきと輝く眼差しを拝見し、とても頼もしく感じます。これからの大宮高校を担ってくれるという期待は大きく膨らみました。皆さんには本校での三年間の学びを経て、「大宮高校の宝」から「社会の宝」へと成長を遂げてほしいと願っています。
本校は「未来を創るリーダー」の育成を目指しています。皆さんが創るその未来はまさに未知の世界。今、社会は極めて予測困難な時代を迎えています。私たちは、激しい変化で先を見通すことが難しく、明確な答えが存在しない不確実な社会の中にいますが、その中で求められるのは「別解」「納得解」「最適解」といった活路を見出していくことです。自分の力あるいは自分たちの力で、情報の収集や分析、試行錯誤や議論を重ねながら、最善であろう答えを導き出さなくてはならないのです。今日から始まる大高生活での様々な経験は、未来を切り拓いていくために必要となる皆さんの「思考力」や「想像力」、「情報収集能力」や「分析力」さらには「行動力」や「コミュニケーションスキル」を高めていくはずです。
社会の課題は目の前にあります。日本が直面する超少子高齢化、世界各地で起きている混乱、地球規模で進む温暖化、これらは遠い世界の出来事ではなく、その変化や影響は皆さんも既に感じているはずです。ぜひしっかりとそれらの課題に目を向けてください。そして、それらの課題解決と学校での学びを関連づけてほしいと思います。3年間の大高生活を通して、未来に向かう高い志と、それを実現するための逞しい心と体、そして、大学でのより深く高度な学びや研究に備える高い学力を身につけて欲しいと願っています。
皆さんは日本初の第一次南極観測隊越冬隊長を務めた西堀栄三郎を知っているでしょうか。この方は真空管の製造・開発を通して、世界に誇る日本品質の礎を築いた技術者であり、その一方で、日本初の8000メートル級登山となるヒマラヤ山脈マナスルの登山計画に尽力した登山家でもあります。まさに今流行りの二刀流。文武両道を地で行く科学者です。
当時の日本で、「南極大陸の観測は無謀だ」とも言われた挑戦を成功させたのは、科学者としての冷静な分析力や登山家としての不屈の実行力であったと思います。その偉業を成し遂げた西堀栄三郎は次のように述べています。「石橋を叩いて安全を確認してから決心しようと思ったら、おそらく永久に石橋は渡れない。やろうと決めて、どうしたらできるかを調査せよ」。挑戦することの大切さを伝える言葉です。
高い目標を掲げることの意味は「達成すること」そのものではありません。目標を持つことによって「自分の行動の質」が変わることにあります。掲げる目標によって必要となる行動は異なります。また、立ち向かうべき試練や困難も異なります。自分が掲げた目標と選んだ行動を通して、自分と向き合い不安や困難を乗り越えながら、様々な成功や失敗、挫折といった経験を重ねることが、皆さんをひと回りもふた回りも大きく成長させてくれます。目標の高さは、自分がどれだけ成長できるかを左右することにつながるのです。
ここで忘れてはならないのは、常に自分の思うように物事は進まないということです。誰もが完璧ではないということ、自分も壁にぶつかる、失敗する、自信を失う経験をするということを受け入れることです。大切なのは、その時どうするかを学ぶこと。自分の弱さと向き合うことも、他者に助けを求めることも、誰にも必要な経験であり、すべてが成長の糧となるのです。
エベレスト登頂を目指すクライマーは、たとえ麓の天候が悪くても、頂上を見据えて一歩を踏み出します。皆さんも、目の前の小さな躓きや失敗に一喜一憂することはありません。見据える未来に向け、少しずつでも上へ上へと一歩ずつ確実にその歩みを続けることに大きな意味があります。皆さんには社会の大きな未来に目を向けて欲しいと思います。また、同時に、3年後の自分の輝く未来を想像し、その未来を現実のものにしてほしいと強く願っています。
最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねて入学のお喜びを申し上げます。この15年間、様々なご苦労があったことと思います。心から敬意を表したいと存じます。本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。責任をもって、お子様の力をしっかりと伸ばしてまいります。
高校時代は、生徒一人一人が、自分の人生を自分の力でつかみとっていく大切な時期です。失敗や挫折、成功の経験を重ねながら一歩一歩少しずつ自立した大人へと成長していきます。私が昔出会った「アメリカインディアンの教え」の中から3つの言葉をご紹介します。「心が寛大な人の中で育った子は 我慢強くなります」「励ましを受けて育った子は 自信を持ちます」「人に認めてもらえる中で育った子は 自分を大事にします」。どうか保護者の皆様にはどっしりと構え、笑顔で、お子様の成長を後ろから暖かく見守っていただき、力強く支えていただきますようお願いいたします。 私たち教職員は、大宮高校の教育に誇りをもって全力で取り組んでまいります。家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長を後押ししてまいります。何卒、御支援・御協力を賜りますようお願いいたします。
それでは、3年後の卒業式の日に、ここにいる新入生が心身ともに大きく成長し、すべての生徒、保護者の皆様が「大宮高校で本当によかった」と思えることを心から願い、式辞といたします。
「自分らしく 大高生らしく」
軌跡は「残す」ものではなく「残る」もの。
大切なのは、その日その時、自分がベストを尽くすこと。
そうして今の自分がある。そうして今の大宮高校がある。
これからも自分らしく、大高生らしく。
今、皆さんは大宮高校物語の主役です。
【前期始業式】
皆さん、おはようございます。令和8年度、大宮高校創立100周年を迎える1年がスタートしました。今朝皆さんは、新たな気持ちで、やる気に満ちて、門をくぐったことと思います。午後には新たな大高生が仲間になります。2年生、3年生の皆さんには、「我々について来い」と背中で語ってほしいと思います。ぜひ「チーム大宮」の精神を伝授してください。
さて、3月の終業式では、大宮高校に学ぶ皆さんに現状維持は似合わないと言いました。残された卒業までの高校生活の中で、何に挑戦し、どんな経験をして、どれだけの自信を手にするか。学校生活の充実と進路実現、人として成長していくための目標設定と行動計画をじっくりと考えてほしいとお願いしました。どうでしょうか。目標を立てなければ、自分がやるべきことも明確になりません。必ず具体的な目標を立ててください。
ところで、皆さんはこれまで、様々な経験をし、自分の軌跡を残してきたと思います。どんな軌跡でしょうか。おそらく、いろいろなことに一生懸命取り組んだ結果が軌跡となって残っていることと思います。言うなれば皆さんの歴史です。いろいろな出来事や取組の成果や結果などを書き出せば、ひとつの年表が出来上がることと思います。ただ、歴史の学びにも言えることだと思いますが、事実や結果だけを並べてもあまり意味はありません。大事なのはその背景や過程を知ることにあります。
皆さんの軌跡も「結果」ではなく「プロセス」に意味があるのだと思います。もちろん結果も大事ですし、自分が望む結果となることが理想ではありますが、たとえ結果が伴わなかったとしても、全力で臨んだのであれば、そのプロセスには、間違いなく大きな意味があるはずです。大事なのは「本気で」「全力で」「根気強く」「頑張り抜いたか」という点です。
皆さんは今、自分の軌跡の先端にいます。皆さんの前には軌跡などありません。ぜひしっかりと前を見て、上を向いて、自分の進むべき道を目標に向かって力強く前進してください。加えて言えば、皆さんのその姿や掴んだ成果や結果は、誰かの道しるべになり、後に続く者の励みになるはずです。
大宮高校は100年に渡る軌跡の上に今があります。甲子園に出場するなどスポーツ強豪校として名を馳せた時代、進学校へとその姿を変えてきた時代、その時その時の生徒や教員の情熱や挑戦が、素晴らしい軌跡を残しています。しかし、皆大宮高校の軌跡を残すことを目的に頑張ってきたわけではありません。軌跡は「残す」ものではなく「残る」ものだと思います。先輩たち一人一人は、自分の目指す道を全力で進むことを続けていたはずです。その結果、それらの積み重ねが軌跡となり、今、大宮高校の「校風」として残っているのだと思います。
この「校風」は、皆さん個人の軌跡に当てはめれば「自分らしさ」です。「自分らしさ」を大事にしてほしいと思います。自信を持てる自分でいられるよう、何事にも積極的に取り組んでください。
また、同じくらい皆さんには「大宮高校の校風」「大高生らしさ」を大切にしてほしいと思っています。昨年11月の100周年プレイベント「大高人記念講演会」では、先輩たちの話から「大高生らしさ」を学ぶことができたのではないかと思います。様々な分野の第一線で活躍している先輩たちが高校時代、何を考え、どんな行動をとっていたのか。是非参考にして、その背中を追ってほしいと思います。
「大高生らしさ」を考えるにあたって、私からお願いがあります。「人としての魅力」を大事にしてほしいということです。日頃から「人としてどうあるべきか」を意識してください。これは、未来を創るリーダーに不可欠な要素です。
皆さんは、大宮高校100年の中の3年間、「大高物語」の主役を務めています。自分が自分らしくいられるように、大高生が大高生らしくいられるように、そして、大宮高校が大宮高校らしくいられるために、皆さん一人一人が、どうあるべきか、何をすべきかを考え、実践してください。記念すべき100周年イヤー、何かに全力で挑戦し、最後までやり抜き、「これだけはやり切った」と自信を持って言える1年にしてほしいと心から願っています。皆さんの健闘と活躍を期待しています。
「現状維持は似合わない」
現状維持では成長できない。
だから不安や緊張に立ち向かう。
そんな経験を積みながら、先輩たちも大きな自信を手にしたのです。
【後期終業式】
皆さん、おはようございます。時が経つのは早いものです。今日、1年間の学びを終える節目の日を迎えました。皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。改めて、自分の大高生活を評価してみてほしいと思います。
さて、前回の全校集会で、私は皆さんに「仲間と共に大宮高校で学んでいることに喜びや幸せを感じてほしい」ということを伝えました。いろんな仲間と関わり合える今の環境を活かしてほしい。ここで学ぶことを目指し、大高生となったことに自信を持ってほしいと願っています。今日は、前回の話の続きとして、「現状に満足、あるいは現状に妥協し、成長のチャンスを放棄していないかを自分に問うてほしい」ということを話したいと思います。簡単に言えば「チャレンジしているか?」ということです。
私は、まずは大前提として、この大宮高校での生活が、皆さんにとって「コンフォートゾーン」であってほしいと願っています。大高生であることの喜びの実感や学びの充実、仲間の存在などによって、精神的に快適なゾーンにいてほしいと思っています。もちろん、それは単に与えられることによって得られるものではないので、自分の努力も必要です。
その上で、皆さんには心地よくてストレスフリーの生活に満足することなく、「コンフォートゾーン」から「ラーニングゾーン」へと常に一歩踏み出してほしいと願っています。「ラーニングゾーン」とは、「自分にできるだろうか」と心配したり、ちょっと失敗をして冷や汗をかいたりするなど、不安や緊張を感じながら、現状の知識やスキル、経験では通用しないことに向かっている状況を指します。人が最も成長する環境と言われています。
福沢諭吉やウォルト・ディズニーの言葉にもあるように、志を遂げようとする者にとっては、「現状維持は退歩」であるといえます。大宮高校に学ぶ皆さんに、現状維持は似合わないと思っています。成長という現象は安定の外側で起きます。翼を押し上げるのは向かい風です。向かい風という抵抗(ストレス)がなければ、空へと飛び立つことはできません。私たちにとってストレスは成長のエネルギーでもあるのです。これからの未来、豊かな社会の創造を担う大きな志を持つんだということを忘れないでほしいと思います。そして、成長のチャンスを逃さないでください。
ところで、今回も大高生に関する素敵なエピソードを紹介します。先日、市内に住むある方から学校にメールが届きました。本校1年生の生徒4人に、地域の広場で幼稚園に通う子供たちと遊んでくれたことへの感謝を伝えたいとのメールです。遊び始める前には保護者に「大丈夫ですか?」と確認をとってくれて安心できたこと、遊ぶ中では「道路には出ないようにね」などの声掛けで、小さい子の安全に気を配ってくれたことなどが書かれていました。また、その方は、遊んでくれた生徒のように優しい子どもに育つよう頑張りたいとも書き添えてくださいました。
わざわざメールをいただいたことに私も感謝したいと思います。また、大高生が地域の中で、他世代の方々とお互いを尊重しながら交流していることをとても嬉しく思いました。まさに、私たちが社会の中で、人と人とのかかわりあいの中で生きていることの素晴らしさを感じる出来事です。皆さんにはこれからも、地域の中の学校であること、地域の一員としての高校生であることを意識して、日々の生活を送ってほしいと思います。大宮高校は、地域に愛され、応援してもらえる学校でありたいと思います。中学生にとっても目標であり憧れの学校でありたいと思います。我々教職員と皆さんの手で、魅力ある大宮高校を築いていきましょう。
最後に、先日の卒業式で、卒業生代表の先輩が答辞の中で述べた言葉を、この場を借りて1年生にも紹介します。「私たちは、世界が大きく変化する中で、思うようにいかず、立ち止まることもあるかもしれません。しかし、大宮高校で培った経験があれば、私たちはどんな困難でも乗り越えていけると確信しています。」大宮高校での日々の実践の中で、自分の手でつかんだ自信が伝わる力強い言葉です。
皆さんにも、ぜひそうあってほしいと思います。これからの大高生活で、何に挑戦し、どんな経験をして、どれだけの自信を手にしますか? どんな卒業式を迎えるかは自分次第。自分の未来を創るのは自分自身です。今一度、現在の自分の学校生活を振り返り、2週間後に始まる新学年のスタートに向けて、学校生活の充実と進路実現、そして人として成長していくための目標設定と行動計画についてじっくりと考えてください。やる気に満ちたいきいきとした姿で始業式に臨んでくれることを期待しています。
「大宮高校の財産は『人』である」
大宮高校の誇りである皆さんの卒業を心から祝福します。
皆さんは大宮高校の財産であり、社会の宝。
それは同時に、あなたがかけがえのない存在であることの証でもあります。
あなたにだからこそできることがあるはずです。
式辞
柔らかな日差しに包まれ、早春の清々しい空気が満ち溢れる今日の佳き日に、御来賓の皆様の御臨席を賜り、御家族の皆様と共に「埼玉県立大宮高等学校第76回卒業証書授与式」を挙行できますことは、私ども教職員にとりましてこの上ない喜びでございます。御臨席をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を手にした356名の皆さん、卒業おめでとうございます。また、3年間お子様を支え、共に歩んでこられました御家族の皆様に、心からお祝いを申し上げます。今日、卒業式という晴れ舞台に立っている卒業生の皆さんは、大高生として過ごしてきた3年間を思い出し、感激もひとしおのことと推察します。
皆さんは、この大宮高校での3年間を仲間と共に全力で駆け抜けました。その中で学んだこと、経験したこと、そして時に悩み、葛藤したことのすべてが、皆さんを成長させてきました。また、皆さんはこの大宮高校の更なる躍進に向けて、歴史をつないでくれました。大宮高校の一番の財産が「人」であることを改めて強く感じます。未来に向け、新たなステージへと進みゆく皆さんを、とても誇らしく思います。
高校での学びを終えた皆さんは、これからの社会の担い手としてのスタートラインに立ちます。その社会は今、かつてない速度で変化しています。急速に進むデジタル化、気候変動、少子高齢化、そして分断や孤立。これらは、決して遠い問題ではなく、皆さんの世代が主役となって解決していかなければならない課題です。
とりわけ、これからの社会において心配なのは、人と人のつながりの希薄化です。SNSは発達し、情報は溢れ、物理的・時間的な距離は縮まりました。しかし、本当の意味で「人と向き合う」ということが減ってきたのではないかと思います。自分と異なる意見に耳を傾けることをせず、非難や拒絶をする。自分のことで精一杯で、困っている人に気づかず、気づいても声をかけられない。そうした社会の姿が様々な課題を生み出しています。
しかし、中学校生活の3年間をコロナ禍で過ごした皆さんは知っているはずです。人と関わること、人間関係が人生を豊かにする最大の財産であることを。大宮高校で様々なことを経験し、友と過ごし、仲間と協力し、教員や親と対話する中で、それを実感したはずです。
哲学者アリストテレスは、「人間は社会的動物である」と述べました。これは、私たちが一人では生きられない、他者とのつながりの中でこそ、本当の自分を発揮できるということを意味しています。また、イギリスの政治家、ウィンストン・チャーチルは、「我々は得ることで生計を立て、与えることで人生を築く」という言葉を残しています。
人生において大切なことのひとつは、自立するための力を蓄えることです。知識を深め、技術を磨き、自らの糧を得る。それは大人として歩む第一歩です。しかし、それだけでは人生は未完成です。いうまでもなく、人間は決して一人では生きていけない存在だからです。
私たちが今日ここにいられるのは、誰かが育ててくれたから、誰かが支えてくれたから、そして社会にその仕組みがあったからです。私たちは常に、他者の恩恵を受けて生きています。だからこそ、次は皆さんが「与える」側に回ることで、社会という大きな輪の一部となり、生きがいを持って自分らしい人生を築くことができるのだと思います。
誰かのために自分の時間を使うこと、困っている人に手を差し伸べること、自分の知識や技術で社会に貢献すること。そうした「与える」という行為こそが、単なる「生存」を超えて、皆さんの人生を「意味あるもの」に磨き上げていくのだと思います。
皆さんがこれから出会う困難の多くは、自分一人では解決できません。「人と人との関わり」や「支え合い」、「他者とのつながり」が不可欠であり、その中にこそ、人生の本当の価値があります。どうか、異なる意見の人の話に耳を傾け、自分とは異なる背景を持つ人々と協力することで、新しい可能性を生み出す人になってください。
大宮高校が目指しているもの、それは、これからの社会を担う、未来を創るリーダーの育成です。今日、私たち教職員は胸を張って皆さんを送り出します。近い将来、皆さんが未来の創造者の一人として社会のどこかで活躍してくれることを心から願っています。
もう一度言います。大宮高校の財産は「人」です。巣立ちゆく皆さんです。大宮高校百年の歴史が生んだたくさんの宝が、今、社会の様々な場所で輝いています。次は皆さんの番です。大きな志を胸に、次への一歩を踏み出してください。大宮高校は、未来に向かう皆さんをこれからも応援し続けます。
結びにあたり、これまで本校教育活動の充実・発展のために、絶大なる御理解と御協力を賜りました御家族の皆様に心から感謝申し上げます。また、御来賓の皆様には、今後も引き続き、特段の御指導と御支援を賜りますようお願い申し上げます。
卒業生の皆さんの未来に、幸多からんことをお祈りするとともに、御臨席を賜りました皆様に重ねて御礼を申し上げ、式辞といたします。
令和8年3月14日
埼玉県立大宮高等学校長 松中 直司
「幸せの種」
ほんの小さな出来事で、心は温まる。
やっぱり人は温かい。
仲間と共に過ごす学校生活の中には、たくさんの幸せの種があります。
生徒の皆さんが、大宮高校で学んでいることに喜びや幸せを感じられますように・・・。
【後期全校集会】
皆さん、おはようございます。年が明け、新たな一年が始まりました。皆さんと新しい年を迎えることができて、また、久しぶりに全校生徒の皆さんと、こうして対面で顔を合わせることがとても嬉しく思います。今年2026年も皆さんと共に、「チーム大宮」の精神で、大宮高校飛躍の一年にしたいと思います。
さて、一年のはじめとなる今日は皆さんに、大宮高校の生徒であること、大宮高校で学んでいるということを、改めて意識してほしいと思います。1年生は大高生となって9か月、2年生は1年9か月が経った今、3年生にとっては大高生として大学受験に臨んでいる今、皆さんは大宮高校の生徒であることをどのように感じ、意識しているでしょうか?
皆さん、中学3年生の今頃を思い出してください。どんな思いで大宮高校を目指していたでしょうか? きっと、強い希望と大きな期待、あこがれや夢を胸に抱いて、大宮高校を目指していたのだろうと思います。そして今、皆さんは、あのとき本気で目指していた「大宮高校」の生徒として高校生活を送っています。改めて本校に合格した時の気持ちを思い出してみてください。どうでしょう、今、大高生であることの喜びや幸せを感じているでしょうか?
少し話がそれますが、古くから人類は、「幸福とは何か」「幸せになるには」といった問いを、哲学や宗教を通じて考え、追究してきました。しかし今日では脳科学による「幸せ」の研究が進んでいます。
先日ある新聞で『脳の奥深くに幸せをつかさどる部位を見つけた』という記事を読みました。理化学研究所が発表した研究成果です。脳の頭頂部と後頭部の間にある「楔前部(けつぜんぶ)」という部位が、幸せの感じ方に関わるということを突き止めたというものです。幸福感が高い人は「楔前部」の活動が穏やかなのだそうです。また、脳で感情の処理などを行う「偏桃体」と「楔前部」が連携して活動する人ほど幸福度が高いのだそうです。
近い将来、脳科学が「幸せ」の実体を突き止める日が来るかもしれません。とても興味深い研究であり、どのようなことに活かすことができるのか楽しみです。極端なことを言えば、電気信号によって人為的に幸せを感じることができる日が来るかもしれません。ただ、たとえそれが実現したとしても、人として生きる私たちにとって本当の幸せであるかは別の話です。少なくとも今私たちが感じている幸せは、日々の生活の中で、自分に自信を持てることであったり、人とのかかわりを通して得られるものであったりするのだと思います。
今日、私が伝えたいことは、「仲間と共に大宮高校で学んでいることに喜びや幸せを感じて欲しい」ということです。
皆さんの中には進路や勉強、人間関係などで悩んでいる人もいると思います。でも、皆さんは今、本気で目指していた「あの大宮高校」の生徒です。もっと自信を持ってほしいと思います。目の前にある小さな壁の先に進むための一歩を踏み出してください。
困ったことがあったら自分一人で抱えることなく、友人でもいい、教員でもいい、思い切ってサポートを求めましょう。私たちは人から手助けを受けると、うれしさやありがたみを感じます。手助けした人も心理的な充実感を得ます。何気ない人とのかかわりの中に「幸せの種」があると思います。大宮高校での仲間との活動を通して、喜びや幸せをたくさん感じて欲しいと思います。
ところで、大宮高校の校長であることの幸せを実感する出来事があったので紹介します。先月、近隣にお住まいの92歳のおばあさんから、御礼のお手紙が届きました。そのおばあさんが自宅のシャッターが開けられず困っていたところ、通り掛かった大宮高校の男子生徒が開けてくれたので、御礼を伝えたいという内容です。
私は、大高生の他者を思いやる心を嬉しく思いました。とても幸せな気持ちです。それと同時に、わざわざお礼状をくださったことをとてもありがたく思いました。そして、おばあさんに感謝の気持ちを伝えたくなりました。この話を聞いて、自分のことだと分かった人がいたら、後で校長室に来てくれたらうれしいです。よろしくお願いします。
幸せというのは、ひとつは自分を肯定的に捉えられることで、もう一つは人と人との繋がりの中で、感じることができると思っています。心が通じ合えると不思議と心が温かくなります。皆さんには、これからも自分に自信を持ち、人と関わるということを大切にしてほしいと思います。そのためにも、ぜひ、日頃から心が通う挨拶を心掛けて欲しいと思います。
それでは皆さん、仲間と共に、2026年を素敵な一年にしてください。3年生の皆さん、どうか自信を持って、いつもの自分で勉強に取り組み、いつもの自分で試験に臨んでください。心から応援しています。