理数科日誌
【大高人×理数科推進部】 第2回 微生物実験教室(東京薬科大学)
実施会場 東京薬科大学(東京都八王子市)
実施日 7月11日(金)
本校卒業生、大高人の中南秀将教授(薬学部 臨床微生物学教室)による微生物実験教室が今年度も開催されました!
生徒13名(理数科5名、普通科8名)が参加しました。
昨年度に実施した第1回の様子や、専門用語の解説等は こちら からご覧ください。
【イントロダクション】
まずは中南教授の自己紹介、そして真核細胞や原核細胞の違いなどの基礎知識の確認。
1年生にとっても生物基礎の授業で学習済みの内容ですので、うんうんと頷きながら聞いていました。
【実験の準備】
グラム染色で使用する染色液が制服につかないように、使い捨ての医療用ガウンを着るところから始まります。
ゴム手袋もバシッと着用し、いかにも「これから微生物を取り扱うぞ!」という雰囲気でテンションが高まります。
【口内細菌の採取】
滅菌済みの綿棒を口に含み、歯みがきをする要領でやさしくこすり取ります。
この綿棒をスライドグラスに塗り付け、この後の操作のためによく乾燥させます。
【グラム染色】
試薬によって染色時間が異なり、早いものは試薬を加えて10秒で次の操作に移らなければなりません。
一発勝負ということもあり、生徒の間にも緊張感が漂います…。
研究室スタッフの吉田助教、大学院生の的確なアドバイスもあり、スムーズに作業を進めていくことができました。
【油浸レンズによる観察、スケッチ、そして撮影】
専用のエマージョンオイルをスライドグラスに1滴ポタッとたらし、いざ観察。
スライドグラスと対物レンズの間の油膜が1000倍の倍率での観察を可能にしてくれます。
観察の終盤はスマホでの撮影会が始まりました。スマホのカメラを接眼レンズにあてて、苦労しながらピントを合わせてシャッターを切る生徒たち。いい写真は撮れたかな?
【培養した細菌の観察】
口内細菌を観察した後は、昨年度と同じく中南研究室で培養した細菌の観察会です。
顕微鏡で観察しつつ、横に置かれたシャーレを手に取ってコロニーの様子もセットで観察できました。
表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌は、顕微鏡で観察しても素人にはまず区別できません。
写真のような赤いマンニット食塩寒天培地を用いると、マンニトール発酵する細菌は黄色く変色するため、区別しやすいとのこと。
さぁ、写真のシャーレの中で培養されているのは、表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌のどちらか分かりますか?
【研究室見学】
最後は研究室ツアーです。
今年度は平日にお邪魔したため、研究室のスタッフ、学生の皆さんが研究する生(なま)の雰囲気を感じることができました。
昨年度同様、なかなか入ることができないBSL-3 (バイオ・セーフティ・レベル3)の施設見学もでき、大満足!
(参加した生徒の感想、一部を抜粋)
- 教授が気さくでこちらが質問しやすい環境を作ってくださっていたのがありがたかった。また、普段は絶対に立ち入れない部屋を見学させてもらえたことで、薬学や感染症学への知見が広まった。
- 研究の機材や試料を実際に見られる機会はなかなかないので、とても良い経験になりました。どんな質問にも丁寧に答えていただけて、微生物への関心がより高まったし、本当に楽しかったです。
- 微生物の観察だけで終わると思っていたら、研究室(BSL-3も含めた施設)の見学までさせてもらえて、大学の薬学部に対するイメージが広がった。昨年度の総探(大高人ワークショップ)のときにお世話になった中南教授が、本当に教授だったとわかった。
参加生徒の満足度がとても高いのがこの実験教室の特徴です。
中南教授の熱意と、本校生徒の好奇心と探究心の相乗効果といっていいでしょう。
中南教授、そして研究室のスタッフの皆さん、ありがとうございました!
【大学セミナーでの様子】
7/10(木)、東京大学大学院薬学系研究科の北川大樹教授によるセミナーを本校やまぼうしホールで開催しました。今回のセミナーでは、研究室での生活や研究内容、研究者に至るまでのプロセスなど、幅広く貴重なお話をしていただきました。生徒たちも非常に刺激を受けており、進路選択においても大いに参考になるお話を伺うことができました。
質疑応答においても大変活発に行われており、とても有意義な時間を過ごすことができました。お忙しいところ貴重な時間を設けてくださり、本当にありがとうございました。
【理数科日誌】 理数探究、2・3年生のディスカッション
7月1日(火)、2年生の「理数探究」の授業で3年生とのディスカッションを実施しました。
今年度、試験的に始まった2・3年生のディスカッションです。
2年生にとって夏休みを前にしたこの時期は、探究活動も手探り状態。
何となく見えてきたテーマ。
上手くいきそうなのか、行き詰りそうなのか。
「不安はない」といったら噓になる、そういう段階です。
理数科3年生が普通科の「総合的な探究の時間」との兼ね合いでタイミングよく自由に使える時間が生まれたこともあり、昨年度1年間の「経験」を2年生にフィードバックしてもらうことにしました。
【数学】
個人研究の多い数学は、ディスカッションも個別相談形式。担当教員曰く、とても熱のこもった議論が展開されていたとのこと。
【物理】
こちらは発表形式。現在のテーマについて、現状や課題を発表し、3年生から鋭い質問が飛び、こちらも大いに盛り上がっていたようです。
【化学】
化学は座談会形式。3年生による昨年の苦労話や、今後のスケジュール感や探究活動を進めていく上でやっておいた方が良いこと等、まさに「経験者は語る」的な交流でした。
【生物】
こちらも座談会形式。テーマの対象となっている生き物や装置を目の前に、和やかな雰囲気。
現2年生にとって、昨年度2月に行われた校内発表会で見ていたのは「発表モード」の凛々しい姿の先輩たち。
この日は、発表の舞台を降りた「頼もしい先達」としての先輩たち。
こういう先輩風ならピューピュー吹かせてもらい、代を重ねるごとに理数探究をより良いものにしていきたいですね。
3年生の皆さん、受験勉強が忙しい中ありがとうございました!
【理数科日誌】 Global Rocketry Challenge
本校が【 第9期 Global Rocketry Challenge 】の参加校として採択されました。
理数科2年の4名がモデルロケットの打ち上げ競技に挑戦します!
「Global Rocketry Challenge」は、日本モデルロケット協会主催、リバネス企画、運営担当として、ロッキード マーティン協力のもと理工系に興味のある中学生・高校生を対象としたSTEM(科学・技術・工学・数学)教育プログラムです。半年間を通して、火薬で打ち上げるモデルロケットの機体作りにチームを組んで挑戦いただきます。
モデルロケット開発は、アメリカのSTEM(科学・技術・工学・数学)教育において広く取り入れられているプログラムで、日頃学んでいる物理や数学などを活用して実践でき、かつ高い安全性も証明されています。
外部リンク( 教育応援プロジェクト ティーチア )より抜粋
本校の理数科は、理数科とはいえ工業科のようにモノづくりを経験する機会はそう多くありません。
その中で、好奇心を原動力に今回のプログラムへの応募を決めた4人の生徒はやる気がみなぎっています。
5/24(土)、千葉工業大学新習志野キャンパスで開催された任命式で、さっそくモデルロケットの作成と打ち上げを体験しました。
10月に開催予定のモデルロケット全国大会出場に向けて、これから開発を進めていきます!
(参加生徒のコメント)
私たちは「モデルロケット製作」への純粋な興味と好奇心から、このプロジェクトに応募しました。私たちは小さな頃からモノづくりが大好きで、家で工作を楽しむことも多かったのですが、遊びではなく本格的なモノづくりの経験はありませんでした。今回のプロジェクトを知ったとき、1年間ともに過ごしてきた理数科の仲間たちと、これまでで一番本格的なモノづくりへの挑戦ができると思い、胸が高鳴りました。私たちの原動力は「知りたい!やってみたい!」という思いです。経験は乏しいかもしれませんが、そのぶん、このプロジェクトを通じて先生方や仲間とアイデアを出し合い、真摯に学びながら取り組んでいきます。
参加生徒4名(前列)と、指導担当教員4名(後列)
「 ロケットポーズ 」で記念撮影
【理数科日誌】 最先端研究施設訪問(2年遠足)
訪問先 物質・材料研究機構 並木地区 (茨城県つくば市)
訪問日 4月24日(木)
本校理数科2年生の4月の新規行事として、物質・材料研究機構(以下、NIMS)を訪問しました。
大宮高校、4月の遠足。
今年度からは遠足も「理数科らしく」ということで、「学術・研究都市」であるつくば市へ。
午前中は班別自由行動。
班ごとに行きたい場所に行くのではなく、「行きたい場所が同じひと」で班つくりました。せっかくの機会ですから、生徒たちには「自分の好きなモノ」を優先してもらいました。
主な見学場所は国立科学博物館筑波実験植物園つくば植物園、JAXA 筑波宇宙センター、産業技術総合研究所(地質標本館,AIST-Cube)、サイバーダインスタジオ、つくばエキスポセンター、筑波大学でした。
午後の再集合時、地質標本館を見学した生徒に話を聞いたところ…
「想像以上に面白くて、出発予定の時間を超えて見学していたら昼食の時間が取れませんでした(笑)」
さすが理数科…!
午後はNIMSへ。
NIMSには千現地区(本部)、並木地区、桜地区の3か所があります(昨年度2年生が7月に「千現地区」を訪問しました)。今回は並木地区を訪問しました。
到着後、まず大講堂でNIMSの概要説明を受けた後、電気化学ナノバイオグループの主任研究員 今村 岳 先生 の講演を聴きました。
実はこの今村先生、本校理数科の卒業生です。昨年度から始まったNIMS訪問も、今村先生とのご縁で実現しました。今村先生の高校卒業から現在までのご経歴や、最先端のにおいセンサの研究、ベンチャー企業の立ち上げ(においセンサの社会実装)のお話をしていただきました。
研究から起業まで、生徒たちにとっても理数科卒業後の「将来像」のひとつとして、強く印象に残ったはずです。
その後、3グループに分かれて半導体材料分野の長尾先生(写真左)、電池材料分野の桑田先生(写真中央)、そしてバイオ材料分野の今村先生(写真右)の研究室を見学しました。
研究内容の紹介では専門用語が飛び交いました。本校の生徒であっても難しく感じる内容も多々ありましたが、最先端の研究に携わる先生方の「熱量」を感じ取れたはずです。
研究室見学後、大講堂に戻って体験学習「金属あてクイズ」を行いました。
知識として知っていることと、実物に触れて「それ」が何かわかることは、まったくの別物です。グループごとに金属の色、密度(手に持ったときの体感)、質感をヒントに、各サンプルの「正体」を推理しました。化学が専門の小林(筆者)はつい口を出したくなりますが、グッと堪えて見守りました。
結果発表の瞬間は大いに盛り上がりました。
全問正解のグループも多々あり、広報室の方からも「さすが!」とお褒めの言葉をいただきました。
盛りだくさんの1日。午前の自由行動も、午後のNIMS訪問も、大満足の最先端研究施設訪問(2年遠足)となりました。
理数科卒業生の今村岳先生(写真左端)と一緒にNIMSポーズで記念撮影
令和7年度 理数科説明会を開催しました。
4月19日(土)、本校やまぼうし会館にて理数科説明会を行いました。
今回の説明会では理数科生徒による研究(理数探究)発表を行い、たくさんの方にご覧いただきました。
ご来場いただいた小学生、中学生、また保護者の皆様に感謝申し上げます。
やまぼうし会館1階の研究発表の様子です。
ポスター発表形式で行いました。小学生や中学生には難しい内容もあったかもしれませんが
熱心に耳を傾けて、たくさん質問もしてくれていました。
2階では理数科概要説明と個別相談を実施しました。
短い時間ではありましたが、大宮高校理数科の魅力や楽しさをお伝えできていれば幸いです。
【令和6年度理科教育研究発表会(高等学校の部)の様子】
2月8日(土)に埼玉大学で実施された理科教育研究発表会に参加しました。本校理数科の2年生が1年間をかけて取り組んだ「理数探究」の成果を校外に向けて発表しました。今年度は理数科の「理数探究」から物理分野3本、化学分野3本、生物分野1本の出展をしました。生徒は多くの講評やご助言をいただき、刺激を受けている様子でした。今までの研究への取り組みを振り返り、今後の学校生活に活かしてくれると思います。
(以下はポスター発表での様子)
(以下は指導講評・閉会式での様子)
【令和6年度理数探究校内発表会の様子について】
2月6日(木)の3、4、5校時に、理数科2年生による理数探究校内発表会を実施しました。本校の「理数探究」の授業では理数科2年生が各自で設定した課題研究のテーマについて、1年間をかけて実験や検証を行い、課題解決を目指す取り組みをしています。研究の集大成となる今回の発表会には、発表者の理数科2年生に加えて、理数科1年生、教員など多数参加していました。今年度は、物理分野3本、化学分野3本、生物分野3本、数学分野7本の発表となりました。すべての班がこの1年間の努力の成果を示してくれました。質疑応答による議論もとても活発で有意義な時間となりました。
なお、発表はDXハイスクール事業で整備した「やまぼうしホール」で行いました。
(以下は発表会の概要説明の様子)
(以下は物理分野の発表の様子)
(以下は化学分野の発表の様子)
(以下は生物分野の発表の様子)
(以下は数学分野の発表の様子)
【理数科日誌】1年生・探究活動報告会
文部科学省「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に関する取り組みの一環として、2024年10月に理数科1年生を対象としたデータサイエンス実験教室を行いました。この実験教室をきっかけに、1年生の生徒たちは自らの興味・関心に基づき探究活動を進めてきました。1月14日(火)、その成果を発表する報告会を本校やまぼうし会館で実施しました。
データサイエンスの実験教室、探究活動の様子、事前準備の様子は下記リンクからご覧ください。
報告会はポスターセッション形式で実施し、来場した保護者に向けて各グループが探究内容の発表を行いました。
セッション後半になると、よりよい発表をするためにタブレット端末を駆使して、ポスターには盛り込めなかった図や資料を提示するグループが出現!
報告会という限られた時間の中でも、学び、そして成長していく姿が見られました。平日にも関わらず、当日来場した保護者は30名を超え、活気あるポスターセッションとなりました。誠にありがとうございました。
計画当初は本校教員のみで実施することを検討しておりましたが、こうして保護者の皆様にお越しいただいたことで生徒にとって得がたい経験になりました。
大宮高校理数科は生徒・教員の力のみにあらず。保護者の皆様のご理解とご協力もまた、欠くことのできない「 力 」だと実感した報告会となりました。
【理数科日誌】理化学研究所見学会
12月18日(水)、本校の1・2年生の希望者20名が、理化学研究所和光地区を見学しました。毎年お世話になっている理化学研究所ですが、今年は「開拓研究本部 鈴木地球・惑星生命科学研究室」と「脳神経科学研究センター 数理脳科学研究チーム」にお世話になりました。
鈴木地球・惑星生命科学研究室では、主任研究員の鈴木志野先生に、地球の極限環境に存在する微生物や、生命の起源に関する講義を受けました。「生命の起源は海ではなかった」という説には生徒たちも大変驚かされ、興味深く話を聞いていました。また、研究室に在籍している大学院生の方々にもお時間をいただき、高校時代に取り組んでいたことや研究者を志した理由など、貴重なお話を伺いました。
数理脳科学研究チームでは、特別研究員の吉田健祐先生から、睡眠中の脳神経の活動や睡眠中の学習に関する研究について、講義を受けました。知りたい現象を数理モデル化し、数学的に解析してからそれを実験で検証するという計算論的神経科学の手法を学び、数学が科学研究にどのように活用されているかを実感しました。その後、脳神経科学研究センターの展示室「BrainBox」で、体験を交えながら脳科学について学ぶことができました。
さらに、今回の見学では偶然にも両研究室に本校卒業生が在籍しているとのことで、鈴木地球・惑星生命科学研究室では直接お話を伺うこともできました。昨年度も別の研究室で卒業生にお会いしており、大宮高校の卒業生が様々な研究の場で活躍していることを実感しました。
お忙しい中、ご説明、ご案内をしてくださった理研の皆様、ありがとうございました。
(ニホニウムの原子番号113を二進法を使って両手で表す生徒たち)